過去の主宰詠句
俳誌『夏潮』2011年6月号より
大鉢の藍のふかさや君子蘭
二日灸三密加持と説かるれば
書割のやうに春潮イルカショー
干しあがるウエットスーツ春の蠅
風止めばゆきわたりたる春日かな
里山のおしるこ色の芽吹きかな
一水のマフラーほどに落椿
蘂の黄のいよよ華やぎ白椿
豆柴犬 の名はサクラとや春浅し
はくれんに午後の永さの始まれる
俳誌『夏潮』2011年5月号より
雪の衾の林檎園葡萄園
園内に瀧ふたつある余寒かな
出くはして我が眼をさぐる春の猫
信号の赤の濃うなる暮雪かな
草萌を吹くエアコンの室外機
盆梅の正面を決めかねてをり
半鐘は疾うに失せをり島うらら
波音がはるか下より紅椿
出港や島の全景春雨に
たち去りてまたたち去りて西行忌
俳誌『夏潮』2011年4月号より
初空の大一枚や地球つつむ
この先は波濤わきたつ恵方かな
門灯や今宵歌留多の客迎ふ
人影の途切るるときの寒牡丹
ひそやかに金魚をひさぎ町の冬
サイレンの遠きままなり寒日和
賽の目に切りては雪を卸しけり
一村のしづけさに梅探るかな
ごろ石に面輪々々や川涸るる
枝ぶりのざわりざわりと野梅かな
俳誌『夏潮』2011年3月号より
登り来しご褒美の冬紅葉かな
丘を辿り富士を望めば日短
皇帝ダリアとは頓狂や冬の晴れ
マクドナルドなんども喰らひ十二月
山茶花の咲きにぎはふに辟易す
コッヘルにつきし熱燗とびつきり
木々枯れてあからさまなる東司かな
お積もりの酌をしづかに年忘
枯木道ひとりたどれば老ふかむ
日が落ちてすなはち除夜の都会かな
俳誌『夏潮』2011年2月号より
鹿池に映りゐること知らぬかな
デパ地下でちょっと散財文化の日
対岸に無人駅ある河の冬
城山にまもなく時雨やがて雪
我が車窓馳せる丹波の夜長かな
捩ぢあげるやうに大根を引きにけり
花の白噴いて茶畝の小口かな
バス北へ北へ時雨の村たどり
将棋なれば投げ場とてあり冬紅葉
水中花どよんと咲けり茶屋の冬
俳誌『夏潮』2011年1月号より
ポンプ漕ぎては秋水を誘ひあぐ
戦役碑どすんと黒し秋の雨
サーファーに端正な浪秋日和
新蕎麦や但馬出石に雨の日々
菌狩男の声の呼び交はし
山毛欅が倒れて秋天のぽかとあり
今朝は冷えましたと主人紅葉宿
正確に霜がかたどる葉のかたち
星ひとつまこと短く流れけり
千両の曖昧色に染まりそむ

俳誌『夏潮』2010年12月号より
改札を出て鯊の川渡るかな
底砂に向きばらばらに鯊沈む
すつぽんの狸貌なる水の秋
瓢の実の大中小のこれは中
よく焦げて麦藁帽子蘆の花
秋雨の針刺しやまぬ渚かな
鵜篝の照らしあげたる橋の腹
疲鵜の甘えるままに鵜匠の掌
またもとの闇を流るる鵜川かな
目路はるか美濃の尾張の豊の秋
俳誌『夏潮』2010年11月号より
隠れ岩の廻りの鮎を探るとよ
漕ぐほどに井戸の冷やつこき日の盛り
汗みどろかな何着ても着ないでも
虎杖の枝分け花を分け進む
群青の芯滲み見ゆ瀧柱
くぐまりて猿猴 の如く岩魚釣る
すれ違ひざまのやんまに睨 めらるる
すでにして瀧口の水躍りをり
喰はにやならん喰はれちやならん青蛙
朝涼のビタミン剤をまはし飲み
カーテンを閉じて白夜をへだてけり
その色となりて雨中の小判草
東海道本線の立葵かな
増水や魚簗への小橋はや外し
つゞけざま鰻がかかり雨後の魚簗
火の山の裾や夏野を貼り合はせ
競馬場の中芝ビール日和かな
競馬とはファンファーレまたファンファーレ
ここにまた八号古墳夏木立
茅の輪へと大きく踵踏み込みぬ
残雪の八ヶ岳 やメド梃子大揺れに
御柱 の往いて留まる遲桜
明日は建つる神の御柱 藤の花
海道の第一宿の鐘供養
鐘のうち覗く女も鐘供養
蕃塀の裏の常磐木落葉かな
餌に群るヽ鯉の水音夏に入る
畦草を刈りあり溝も浚へあり
かばかりの戦艦三笠花は葉に
ぶつかつてばかりのそいつ蟻の道
俳誌『夏潮』2010年7月号より
雨戸まで塗りて水色浦の春
溶けかけて月は有明朝桜
かどなみに蘇民将来島のどか
浜砂の象牙色とはあたたかや
島裏の芳草を打ちわが尿
鳶交る短き叫びこぼしては
闇に瞼を見ひらき給ふ御復活
塗椀に蛤汁のほのぐもり
喰ひちぎるとき蓬餅香りけり
鶯のほほほほほへとまだ幼な
俳誌『夏潮』2010年6月号より
楽焼や春ストーブに身を寄せて
梅が枝をくぐるとき土やはらかき
行く人をしたひて梅の散りながれ
春の野を五重塔のピンで止め
蛇穴を出づるを見しとまことしやか
春雨を仰ぎもどりて下足番
湖の国の湖は盆の底夕霞
初花やこ〵なる宮司知れる人
ハンガーのとび出してゐる古巣かな
駆けぬける踊り子号や西行忌
俳誌『夏潮』2010年5月号より
江ノ電の窓に一瞬梅の宮
ポスターは相撲巡業浜の春
居ながれて海猫 の悪相浅き春
烈風にひつちぎれ飛ぶ野火のあり
風巻 きては黄味を帯びたり野火煙
バレンタインデーと頭の片隅に
紅梅や広前に日のまはりそめ
白糸の瀧の裾辺の落椿
田を打ちて均らして曾我の隠れ岩
庭なかに細き中辺路梅が散る
俳誌『夏潮』2010年4月号より
東京に雪焼の顔持ち帰る
雪焼の家庭教師や玄関に
大福を含みてぬるき目出度さよ
浪人も辞さずと述ぶる御慶かな
詣づるや七福神と誰が決めし
ラグビーのノーサイドとは良き言葉
噴水に貼り付くかけら冬の虹
塗りあげて乾く間を待つ青木の実
著ぶくれを脱げば肩胛骨自由
著ぶくれて乏しき才を温むる

俳誌『夏潮』2010年3月号より
狼の遠吠遠野物語
肩低う距離をちぢめて狼は
狼に片腕くれて屠りしと
風裏に風裏に水仙の花
独標に手袋置いて湯を沸かす
鰤網やけふも雲中劒岳
橋上に海月見てゐる師走かな
按ずるに「みや」と啼く故都鳥
見まほしや鴨の頭に何つまる
鳩追ふや歩きはじめて著膨れて
俳誌『夏潮』2010年2月号より
十露盤のやうに魚梯や冬紅葉
石蕗黄なる三木屋の庭と覗き見る
廃川に釣るは杞陽ぞ秋の風
三丹やつらねて低き紅葉山
ビニールを外しハウスの冬構
五六枚冬田へだてて声とどく
ずんぐりと丹後半島冬紅葉
無精髭一日そだて小春かな
枯る〵とは色抜くること岩煙草
冬瀧の吝しみて細き一縷かな
俳誌『夏潮』2010年1月号より
あぶらげを供へて椎の実を掃いて
翡翠の嘴の長きも天賦なる
名月をはやばや浮かべ奈良盆地
はつきりと鹿のかたちや月の芝
貼りつけて凧の高さや望の月
深秋の五十二段を御仏へ
快晴のこんな暑さも御命講
ほころぶやお会式桜約により
忽然と大学があり野路の秋
からうじて嵌まる兎や後の月
大鉢の藍のふかさや君子蘭
二日灸三密加持と説かるれば
書割のやうに春潮イルカショー
干しあがるウエットスーツ春の蠅
風止めばゆきわたりたる春日かな
里山のおしるこ色の芽吹きかな
一水のマフラーほどに落椿
蘂の黄のいよよ華やぎ白椿
はくれんに午後の永さの始まれる
主宰近詠 島うらら
雪の衾の林檎園葡萄園
園内に瀧ふたつある余寒かな
出くはして我が眼をさぐる春の猫
信号の赤の濃うなる暮雪かな
草萌を吹くエアコンの室外機
盆梅の正面を決めかねてをり
半鐘は疾うに失せをり島うらら
波音がはるか下より紅椿
出港や島の全景春雨に
たち去りてまたたち去りて西行忌
主宰近詠 川涸るる
初空の大一枚や地球つつむ
この先は波濤わきたつ恵方かな
門灯や今宵歌留多の客迎ふ
人影の途切るるときの寒牡丹
ひそやかに金魚をひさぎ町の冬
サイレンの遠きままなり寒日和
賽の目に切りては雪を卸しけり
一村のしづけさに梅探るかな
ごろ石に面輪々々や川涸るる
枝ぶりのざわりざわりと野梅かな
主宰近詠 皇帝ダリア
登り来しご褒美の冬紅葉かな
丘を辿り富士を望めば日短
皇帝ダリアとは頓狂や冬の晴れ
マクドナルドなんども喰らひ十二月
山茶花の咲きにぎはふに辟易す
コッヘルにつきし熱燗とびつきり
木々枯れてあからさまなる東司かな
お積もりの酌をしづかに年忘
枯木道ひとりたどれば老ふかむ
日が落ちてすなはち除夜の都会かな
主宰近詠 茶屋の冬
鹿池に映りゐること知らぬかな
デパ地下でちょっと散財文化の日
対岸に無人駅ある河の冬
城山にまもなく時雨やがて雪
我が車窓馳せる丹波の夜長かな
捩ぢあげるやうに大根を引きにけり
花の白噴いて茶畝の小口かな
バス北へ北へ時雨の村たどり
将棋なれば投げ場とてあり冬紅葉
水中花どよんと咲けり茶屋の冬
主宰近詠 どすんと黒し
ポンプ漕ぎては秋水を誘ひあぐ
戦役碑どすんと黒し秋の雨
サーファーに端正な浪秋日和
新蕎麦や但馬出石に雨の日々
菌狩男の声の呼び交はし
山毛欅が倒れて秋天のぽかとあり
今朝は冷えましたと主人紅葉宿
正確に霜がかたどる葉のかたち
星ひとつまこと短く流れけり
千両の曖昧色に染まりそむ

主宰近詠 橋の腹
改札を出て鯊の川渡るかな
底砂に向きばらばらに鯊沈む
すつぽんの狸貌なる水の秋
瓢の実の大中小のこれは中
よく焦げて麦藁帽子蘆の花
秋雨の針刺しやまぬ渚かな
鵜篝の照らしあげたる橋の腹
疲鵜の甘えるままに鵜匠の掌
またもとの闇を流るる鵜川かな
目路はるか美濃の尾張の豊の秋
主宰近詠 喰はれちやならん
隠れ岩の廻りの鮎を探るとよ
漕ぐほどに井戸の冷やつこき日の盛り
汗みどろかな何着ても着ないでも
虎杖の枝分け花を分け進む
群青の芯滲み見ゆ瀧柱
くぐまりて
すれ違ひざまのやんまに
すでにして瀧口の水躍りをり
喰はにやならん喰はれちやならん青蛙
朝涼のビタミン剤をまはし飲み
主宰近詠 青林檎
俳誌『夏潮』2010年10月号より
自炊部の帳場に積みて籠枕
折れ針のやうに光りて瀧遠し
躍り出て瀧水摑むものぞ無き
一瀑の日差しつつきりながら落つ
瀧仰ぐほどに屈託剥がれゆく
山麓に読書合宿青林檎
歩荷 の荷高きところに青林檎
祖師像の猪首におはす炎暑かな
屋根瓦七万枚を炎天に
鯊逃げし砂けむりかなすぐに澄む
主宰近詠 ファンファーレ
俳誌『夏潮』2010年9月号より 自炊部の帳場に積みて籠枕
折れ針のやうに光りて瀧遠し
躍り出て瀧水摑むものぞ無き
一瀑の日差しつつきりながら落つ
瀧仰ぐほどに屈託剥がれゆく
山麓に読書合宿青林檎
祖師像の猪首におはす炎暑かな
屋根瓦七万枚を炎天に
鯊逃げし砂けむりかなすぐに澄む
主宰近詠 ファンファーレ 
カーテンを閉じて白夜をへだてけり
その色となりて雨中の小判草
東海道本線の立葵かな
増水や魚簗への小橋はや外し
つゞけざま鰻がかかり雨後の魚簗
火の山の裾や夏野を貼り合はせ
競馬場の中芝ビール日和かな
競馬とはファンファーレまたファンファーレ
ここにまた八号古墳夏木立
茅の輪へと大きく踵踏み込みぬ
主宰近詠 神の御柱
俳誌『夏潮』2010年8月号より残雪の
明日は建つる神の
海道の第一宿の鐘供養
鐘のうち覗く女も鐘供養
蕃塀の裏の常磐木落葉かな
餌に群るヽ鯉の水音夏に入る
畦草を刈りあり溝も浚へあり
かばかりの戦艦三笠花は葉に
ぶつかつてばかりのそいつ蟻の道
主宰近詠 ほほほほほへと
雨戸まで塗りて水色浦の春
溶けかけて月は有明朝桜
かどなみに蘇民将来島のどか
浜砂の象牙色とはあたたかや
島裏の芳草を打ちわが尿
鳶交る短き叫びこぼしては
闇に瞼を見ひらき給ふ御復活
塗椀に蛤汁のほのぐもり
喰ひちぎるとき蓬餅香りけり
鶯のほほほほほへとまだ幼な
主宰近詠 ここなる宮司
楽焼や春ストーブに身を寄せて
梅が枝をくぐるとき土やはらかき
行く人をしたひて梅の散りながれ
春の野を五重塔のピンで止め
蛇穴を出づるを見しとまことしやか
春雨を仰ぎもどりて下足番
湖の国の湖は盆の底夕霞
初花やこ〵なる宮司知れる人
ハンガーのとび出してゐる古巣かな
駆けぬける踊り子号や西行忌
主宰近詠 細き中辺路
江ノ電の窓に一瞬梅の宮
ポスターは相撲巡業浜の春
居ながれて
烈風にひつちぎれ飛ぶ野火のあり
バレンタインデーと頭の片隅に
紅梅や広前に日のまはりそめ
白糸の瀧の裾辺の落椿
田を打ちて均らして曾我の隠れ岩
庭なかに細き中辺路梅が散る
主宰近詠 ノーサイド
東京に雪焼の顔持ち帰る
雪焼の家庭教師や玄関に
大福を含みてぬるき目出度さよ
浪人も辞さずと述ぶる御慶かな
詣づるや七福神と誰が決めし
ラグビーのノーサイドとは良き言葉
噴水に貼り付くかけら冬の虹
塗りあげて乾く間を待つ青木の実
著ぶくれを脱げば肩胛骨自由
著ぶくれて乏しき才を温むる
主宰近詠 遠野物語
狼の遠吠遠野物語
肩低う距離をちぢめて狼は
狼に片腕くれて屠りしと
風裏に風裏に水仙の花
独標に手袋置いて湯を沸かす
鰤網やけふも雲中劒岳
橋上に海月見てゐる師走かな
按ずるに「みや」と啼く故都鳥
見まほしや鴨の頭に何つまる
鳩追ふや歩きはじめて著膨れて
主宰近詠 吝しみて細き
十露盤のやうに魚梯や冬紅葉
石蕗黄なる三木屋の庭と覗き見る
廃川に釣るは杞陽ぞ秋の風
三丹やつらねて低き紅葉山
ビニールを外しハウスの冬構
五六枚冬田へだてて声とどく
ずんぐりと丹後半島冬紅葉
無精髭一日そだて小春かな
枯る〵とは色抜くること岩煙草
冬瀧の吝しみて細き一縷かな
主宰近詠 嵌まる兎
あぶらげを供へて椎の実を掃いて
翡翠の嘴の長きも天賦なる
名月をはやばや浮かべ奈良盆地
はつきりと鹿のかたちや月の芝
貼りつけて凧の高さや望の月
深秋の五十二段を御仏へ
快晴のこんな暑さも御命講
ほころぶやお会式桜約により
忽然と大学があり野路の秋
からうじて嵌まる兎や後の月
